最近では電動歯ブラシを使っている方も多いと思います。時々患者さんから、普通の歯ブラシと電動歯ブラシはどちらが良いのですか?と質問を受けることがあります。わたしはどちらも良いものなので、1人1人に合った歯ブラシを選ぶ事が大切だと思います。
今回は電動歯ブラシの他にも音波歯ブラシ、超音波歯ブラシといくつか種類がありますので、それぞれご紹介したいと思います。
★電動歯ブラシ★
電動歯ブラシは1960年頃から、手用歯ブラシ(一般的な普通の歯ブラシ)の細かい操作が困難な幼児や高齢者、障害者向けに推奨されてきました。現在では技術の進歩によってさまざまな振動様式のものが市販され、使用者が増えています。
・特徴
振動や回転などの運動によってプラークを除去します。ストローク数(ブラシの上下運動数)は毎分2000〜10000回程度と機種によりさまざまです。毛先が上手くブラッシング部位に当たるとプラーク除去効果が高いので、ブラッシング時間の短縮が可能となります。また、歯肉のマッサージ効果もあります。
電動歯ブラシは大きく3種類に分けられます。
1.頭部そのものが振動を与えるもの
2.毛束が個別に回転するもの
3.握る部分に手用歯ブラシを差し込み使用するもの
これらは充電式のものと電池式のものがあり、価格も安価なものから高価なものまでさまざまです。
・使用方法と注意事項
スイッチを入れるときには必ず口腔内にブラシを入れてから作動させます。振動数を調節できるものを選ぶとよいです。適切な振動数に設定し、軽いタッチで歯面に合わせてゆっくりと動かします。手用歯ブラシのようにゴシゴシ動かす必要はありません。強い力を入れて使用すると、歯肉の退縮や歯の摩耗を引き起こす事があります。研磨剤が多く配合されている歯磨き粉は特に注意して使用しましょう。
電動歯ブラシだけでは歯間部の清掃が不十分ですので、デンタルフロスなどの補助ツールを併用しましょう。補助ツールについては以前のブログでご紹介しておりますので、ご参照ください。
磨き終わったら水洗し、電気製品なのでよく乾燥させて保管するようにしましょう。
ブラシの部分は消耗品なので、毛先が広がってきたら早めに交換しましょう。
・どんな人におすすめ?
使用方法が簡単なので、細かい作業が困難な方や矯正治療中の装置が付いている方に適しています。また、歯磨きを面倒に感じている方や歯磨きをすることに消極的な方にもおすすめしています。
★音波歯ブラシ★
音波歯ブラシは毎分約30000回の振動による音波エネルギーでプラークを破壊する音波方式、微振動タイプの電動歯ブラシの1つです。
・特徴
音波歯ブラシはリニアモーターの技術を利用しています。歯ブラシを毎分約30000回振動させ、音波を生じさせます。口腔内で左右約1〜5mmの振れ幅が唾液などの水分を激しく振動させ、同時に多量の泡を発生させるものもあります。その激しい水分の振動と泡は、歯周病原細菌の構造にダメージを与えます。これば電動歯ブラシにはない特徴です。さらに歯周組織の炎症軽減する作用があり、歯肉や歯を損傷する事が少ないので唾液の分泌量を増加させるなどの効果もあります。
ブラシ部分の形がさまざまなので、ご自身の口腔内に合ったものを選んで使用しましょう。振幅のモードを変換できるものが多く、歯磨き時間を知らせるタイマー機能が付いているものもあります。比較的高価なものなので使い方などをしっかり理解したうえで使用するようにしましょう。
・使用方法と注意事項
使用方法と注意事項は電動歯ブラシと同じです。音波歯ブラシもゴシゴシ動かす必要はなく、軽いタッチで少しずつ移動させて使用しましょう。
・どんな人におすすめ?
歯周病の方、歯周病の予防をしたい方、歯並びがガタガタしている(歯列不正)方、矯正治療中の方、小児や高齢者、障害者のような細かい作業が困難な方、歯の着色が気になる方、インプラントなどデリケートな補綴物がある方、唾液量の少ない方などにおすすめです。
★超音波歯ブラシ★
音波歯ブラシと同様に新しいタイプの電動歯ブラシです。
・特徴
超音波歯ブラシは持ち手のあたりに内蔵された超音波発振子が産み出す超音波と手の動きによって、プラークを除去します。
超音波を毛先に生じさせることにより、プラークと歯の結合力を弱めたり、口内炎発症予防に効果的で直接細菌に影響を与えます。プラーク除去の点では補助的に使用します。
ブラシの毛先は歯周ポケットに挿入しやすいように超極細になっているものなど種類があります。こちらもタイマー機能付きのものがあります。
・使用方法と注意事項
使用方法は基本的に電動歯ブラシや音波歯ブラシと同様ですが、動かし方が異なります。超音波歯ブラシは手用歯ブラシのように毛先を歯面に当てて軽く動かすことでプラークを除去します。
・どんな人におすすめ?
基本的には音波歯ブラシと同じです。
特に歯周ポケットが深い歯周病の方や口内炎の方におすすめです。
心臓にペースメーカーや除細動器を使用している方には、誤作動の恐れがあるためお勧めしません。また、これらの機器を使用している人の近くで作動させないよう気を付けましょう。
以上がそれぞれの歯ブラシのご紹介でした。
それぞれ良いところや気をつけなければならないところがあります。口腔内の状態は人それぞれですので、ご自身に合った歯ブラシを使用していただく事が大切だと思います。
お子様の電動歯ブラシの使用は効果的ではありますが、小さいうちは歯磨きの仕方を練習する時期でもあります。この時期は手用の歯ブラシで効率的なブラッシング方法を学ぶことも大切ですので、私個人的にはお子様のうちは手用歯ブラシをおすすめしております。電動歯ブラシがいけないということはありませんので、口腔内の状況や歯磨きスキルに合わせて選んでみてください。
ご不明点、ご心配な点があればお気軽にご相談くださいね。