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乳歯が生えてきた!

2020年4月5日

今回は、「乳歯の萌出について」について、お話します。

歯の発育の様子

歯の発育は、出生前から始まっています。
顎の中で色々な段階を経て、お口の中に萌えてくるのです。
成長の過程は、乳歯も永久歯もほぼ同じです。

① 成長期
胎生(妊娠)約6週で歯の発生が開始されます。
最初、歯が出てくる所の歯肉の上皮が硬くなってきて、歯堤というのを作ります。
その歯堤の中で、近くの細胞よりも早い速度で増殖を始める細胞が出てきます。
その細胞は、乳歯の卵のようなものである「歯胚」というものを作ります。
それが「歯」の始まりなのです。
歯冠 (歯ぐきから出ている歯の部分) がほぼ形が作られるのが、この成長期です。

永久歯の大臼歯も、これと同じ成長過程なのですが、乳歯がある場所に生えてくる永久歯の前歯~小臼歯は、それぞれ先行している乳歯の歯胚に付随して発育していくのです。

② 骨内萌出期
形成された歯がお口の中に出てこようと準備している時期のことで、少しずつ顎の骨からお口の中に向かって移動し始めます。

③ 萌出期
歯が萌えてくる時期のことです。
生後6ヶ月頃、下の前歯から生え始め生後3歳までに全ての乳歯が生え揃います。
永久歯の歯胚(歯の芽)は最も早く萌出する6歳臼歯で、胎生4ヶ月頃から出来始めます。

④ 咬耗期
歯の磨耗が起こる時期です。物を食べたりという、歯を咬み合わせることを、咬合 といいます。この咬合によって、歯が磨り減っていきます。
つまり、3歳から6歳までは20本の乳歯だけで咬合しています(乳歯列期)。その間に顎骨の中で永久歯が萌出する準備をしています。

歯は生涯を通じて萌出運動を続けています。
萌出運動は、歯が「出てこよう」と続けているということです。
上の歯と下の歯がきちんと咬み合っていれば、伸び続けることはありません。
咬み合せることで磨り減ったはずの歯でも、上下でちゃんと咬みあっていくようになります。

⑤ 吸収期

乳歯だけにある時期です。乳歯がぐらぐらして抜け出し、永久歯が生え始め、乳歯と永久歯が混在している時期を言います。
永久歯と入れ替わるために、歯を壊す細胞「破骨細胞」という細胞が現れます。乳歯の根を吸収していき、永久歯が生えてきやすいようにするものです。
その為に、乳歯が抜けたときは、歯の頭の部分(歯冠)しか残っていないわけです。

乳歯と永久歯の交換の様子は、次の図を見ると分りやすいでしょう。

「歯と口の働きとつくり」少年写真新聞社から転載

6歳ごろ、まず初めに下顎の乳中切歯がぐらぐらして抜け落ちます。ほぼ同じ時期に下顎第一大臼歯(6歳臼歯)が萌出を開始します。
次に、上顎の第一大臼歯が萌出し、上顎の中切歯、下顎の側切歯の順に前歯が生え変わっていきます。
しかし、乳犬歯は第1乳臼歯が第1小臼歯に交換した後に永久犬歯と交換するために、歯と顎の大きさのバランスが悪いときには萌出するスペースが無くなってしまいます。
八重歯になりやすいのは、永久歯の萌出の順番が関係しているのです。

 

子供の口の中を見るときは、どのようなことに注意したらよいですか?

上皮真珠

生まれて間もない赤ちゃんの歯肉(歯ぐき)に、直径mm~数mmの白い小さな球状の塊が1個~数個が、かたまって見られることがあります。
見た目が真珠に似ているところから、上皮真珠と呼ばれています。決して固いものではなく、中身は白いクリーム状のものです。
これは、発生の途中で歯を形成する組織が、歯を形成した後も吸収されずに残り、変化したものと考えられています。そのまま様子を見ていれば、自然に消滅しますので治療の必要はありません。
その後の乳歯の萌出にも影響はありません。

 

先天性歯

赤ちゃんの歯は、一般的には、生後4~6カ月頃に下の前歯(乳中切歯)から生えてきます。たまには生まれた時に、既に歯が生えていたり、新生児(生後1カ月以内)と呼ばれる時期に歯が生えてくる事があります。これを先天性歯と呼びます。
先天性歯は通常より早く生えてくるため、歯の形成が未熟で、歯根もほとんどできていないためグラグラしています。
授乳時に、母親の乳首を噛んで痛みがひどく我慢できないとか、動揺が激しく抜けて飲み込む危険がある場合などは抜歯しますが、特に問題がなければ、歯の先端を削って丸めるか,そのまま様子を見ます。

 

上唇小帯の異常

上唇小帯とは、上唇を引きあげた時に、唇の裏側と前歯の歯肉との間に付いている、粘膜のひだのような部分をいいます。
生まれたての赤ちゃんでは、比較的太く厚いものです。
前歯の乳歯の生えてくる部位のとても近くに付いています。発育するにつれて徐々に細く、薄くなり、付着する位置も歯から離れていきます。これは、歯槽骨という歯を支えている顎の骨が成長するためです。
前歯が乳歯から永久歯に生え変わる時期(8歳ぐらい)になっても、中切歯の間から裏側まで延びている場合には、手術をすることがあります。
いずれにしても、乳幼児は様子を見ることになりますが、乳中切歯が上唇に覆われて磨きにくいので、歯磨きは注意してあげて下さい。

 

晩期萌出

歯の生える時期が異常に遅い事をいいます。ただし、初めから歯がない場合(無歯症)や、骨の中に埋もれたまま(埋伏歯)のこともあります。少数の歯にこのような異常が起こる場合は、局所的な障害であることがほとんどです。しかし、多数の歯に起こる場合はホルモンやビタミンなどの栄養障害、遺伝性、全身性の病気の一つの症状であることを疑います。

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